50歳を過ぎた男性は、「前立腺がん」に注意しましょう。

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●「前立腺」はどこにある?

 前立腺は、男性だけにある生殖器官の一部です。精子に栄養を与えて保護する前立液を分泌したり、膀胱の出口を開閉する働きもしていますが、前立腺の働きについて、まだ、詳しくはわかっていません。

 前立腺があるのは、膀胱の下。栗の実のような大きさと形で、中心を尿道が通っています。(下図参照)

 前立腺の構造は、内腺(ないせん)と外腺(がいせん)から成っています。最近は、移行領域・中心領域・辺縁領域の3つに分けることもありますが、移行・中心領域が内腺、辺縁領域が外腺に当たります。

 前立腺の機能は、テストステロンなどの男性ホルモンの影響を大きく受けています。前立腺の細胞は、男性ホルモンの分泌が活発であるほど増殖します。

前立腺がんとは?

 前立腺がんは、中高年の男性が注意すべき前立腺の病気のひとつです。

 前立腺がんの発生には、加齢による男性ホルモンのバランスの変化が何らかの影響を及ぼしていると考えられているようです。ただし、男性ホルモンそのものが前立腺がんの原因という事実はありません。ですが、すでに前立腺がんになってしまった人の場合、男性ホルモンの刺激が症状を進めてしまうことはわかっています。

 前立腺がんは、主に外腺(辺縁領域)に発生します。ほかの臓器のがんとは異なり、ゆっくりと進行するため、早期に発見できれば治りやすいがんと言えるでしょう。といっても、初期には自覚症状がほとんどないため、発見が遅れることも多く、進行すると最終的には骨や他の臓器にまで転移することもあります。

 今では、血液を調べる簡単なPSA検査で、前立腺がんの早期発見は可能です。男性で50歳を過ぎたら、年に1回の定期的な検診がのぞまれます。自治体の健診や人間ドック、泌尿器科で調べるか、かかりつけのお医者様に相談してみると良いでしょう。

進行すると、こんな症状があらわれます

前立腺がんは、前立腺の外腺(辺縁領域)に発生するため、初期にはほとんど症状がないようです。しかし、時間をかけて進行し、ある程度大きくなってくると、中心部分にある尿道を圧迫したり、尿道に露出したりするようになり、排尿障害、おしっこに関する症状が現れてきます。何回もトイレに通う、ちょろちょろとしか出ない、終わるまでに時間がかかる、途中で止まってしまうなどの症状です。残尿感(おしっこが残っている感じ)、尿閉(尿意はあるのに出ない)、尿失禁などが起こることもあります。

前立腺がんと混同しやすい病気

 前立腺がんが進行して起こる症状は、同じ前立腺の病気である前立腺肥大症と似ているため、間違いやすいのですが、前立腺肥大症は、内腺(移行・中心領域)が肥大する病気で、高齢になると男性のほとんどに症状が見られるため、加齢現象の一種という見方もできます。なお、前立腺肥大症から、前立腺がんに移行することはありません。

 また、前立腺炎も混同しやすい病気ですが、前立腺が炎症を起こした状態で、あらゆる年代の男性に起こります。急性前立腺炎は大腸菌が原因の場合が多く、慢性前立腺炎はクラミジアや弱毒性細菌が原因の場合が多いようです。

日本でも増えている前立腺がん

 前立腺がんは、アメリカで10年ほど前から肺がんを抜いて男性のがんの発生率第一位となっています。かつて、日本では欧米に比べると発生率の少ないがんでしたが、近年、前立腺がんの患者数が急増しています。1975年に約2400人だった患者数も、2006年には2万3000人にまで増加し、2020年には3倍の7万8000人になると予想されています。近い将来、日本でもアメリカと同じ道をたどるのは明らかだと専門家は分析しているようです。

前立腺がんが急増している原因

 原因のひとつは、欧米型の食生活です。戦後、日本人の食生活は様変わりし、動物性脂肪、動物性たんぱくを多く摂るようになった一方、緑黄色野菜の量が不足するようになりました。このことが前立腺がんを発症させる危険因子として挙げられています。

 もうひとつは、高齢化です。前立腺は男性ホルモンによって支配されており、加齢に伴う男性ホルモンのバランスの変化が、前立腺がんの発症と深く関わっていると考えられています。患者の90%以上は60歳以上であり、発見も50歳を超えてからのケースがほとんどです。今後、高齢化が進めば、対象となる人も増えていくと予想されます。

 なお、前立腺がんには、遺伝的要素も関係します。父親や兄弟に前立腺がんの患者がいれば、40歳から定期的に検診を受けることが望まれます。

なりやすい3つの原因

前立腺がんを予防する食生活

 前立腺がんが発生するリスクを高めるものとして、動物性脂肪や乳製品の摂りすぎ、肥満、お酒の飲みすぎ、喫煙などが考えられますので、まずは、これらを控えることが予防につながります。

 一方、前立腺がんを抑制するために、積極的に摂りたい食品もあります。

 その最たるものが、大豆です。豆腐や納豆など、大豆食品を多く食べる人には、前立腺がんの発生が少ないことがわかっています。大豆に含まれるイソフラボンが、エストロゲン(女性ホルモン)と似た構造を持つため、男性ホルモンの働きを抑えるためです。

 また、豆や雑穀、根菜などに含まれる水溶性食物繊維も、前立腺がんになるリスクが下がるとされています。押麦、大麦めん、オートミール、全粒粉、ライ麦、きんかん、アボカド、うずら豆、インゲン豆、そらまめ、あずき、納豆、さつまいも、なめこ、甘栗、えだまめ、オクラ、ごぼう、千切り大根などに豊富に含まれています。

 緑黄色野菜や果物類も大切です。がんが発生する引き金となる活性酸素を抑制するビタミンやカロテン、ポリフェノールが豊富に含まれています。中でも、前立腺がんの予防に良いのは、リコピンが豊富な完熟トマトです。ジュースや缶詰などの加工品からも摂れますから、上手に利用すると良いでしょう。

 いろいろ考えると難しいようですが、動物性脂肪が多い欧米型の食事を控えめにし、豆類や穀物、緑黄色野菜、肉よりも魚を多く食べる、伝統的な日本食を心がけると、バランスよく栄養が摂れます。

 参考までに、国立がんセンターが考案した「がん予防12か条」をご紹介しておきましょう。

がん予防十二か条

前立腺がん予防の献立の一例

前立腺がん予防の献立の一例